六本木ヒルズアリーナ 様

六本木ヒルズの中央に位置する「六本木ヒルズアリーナ」は、巨大な開閉式屋根をもつマルチエンターテイメントスペースです。ライブイベントやレッドカーペットイベント、広場全体を使ったパフォーマンスまで、オープンエアだからこそ実現できる多彩なイベント展開の舞台となります。

六本木ヒルズアリーナではより多様なエンターテイメントに対応すべく、2018年2月に全面的な音響設備の改修が行われました。オープンスペースでの運用になること、近隣設備への干渉を最小限に抑えること、大幅な音質向上と制御監視を達成できることを目標に機器選定が行われました。

様々なブランドの試聴を重ねた結果、採用されたスピーカーはMartin Audio CDDシリーズでした。このCDDスピーカーは特許取得済のCDD（非対称同軸拡散ドライバー）が搭載されており、これまでのスピーカーと比較してその拡散性能に特徴があります。

Martin Audioのアコースティックサウンドを最大限に発揮するために最も口径の大きい15インチサイズを、さらにオープンスペースでの運用を考慮して全天候に対応できるウェザーライズモデルのCDD15-WRが採用されました。設備上部に作られた円形トラスへ12台、エリア補助を行うために8か所の柱へ同じくCDD15-WRが設置され、合計20台で六本木ヒルズアリーナのエリアカバーを行います。

Powersoftの専用ソフトウェアArmoniaで、スマートフォンやタブレットPCから各出力のゲイン調整を施すことが可能に

これらを駆動するアンプとしては、PowersoftのフラッグシップモデルであるX4DSP＋Danteが5台採用され、CDD15の持つポテンシャルを最大限に発揮できるように緻密な調整がなされました。専用ソフトウェアArmoniaを用いることで各出力を最適に補正、リミッターも最適に計算し、ありとあらゆるイベントに対応します。特徴的なOperator View機能を用いることで、スマートフォンやタブレットPCから各出力のゲイン調整を施すことができ、日々のオペレーションをさらに快適に、そしてシステムをより正確に把握できるような工夫もなされています。

X4DSP+Danteの前段にはSymetrixのRadius12x8を設け、パワーアンプへはLuminexのGigaCoreスイッチを介しDante規格での伝送を実現しているため、スピーカー前段まではすべてがデジタル化された全く劣化のない信号伝送がなされており、今後を見据えたシステム拡張性を持つ設備更新となりました。

システム選定を行った六本木ヒルズアリーナの佐藤様からのコメント

「今回の音響機材改修では、これまで抱えていた多くの妥協点が改善されました。お越しいただくすべてのお客様へ最良の音を届けたい。ゴールは明確なのですが、オープンエリアの環境と、スピーカー設置個所に制限があり、かつ近隣エリアへの干渉は最小限に抑えなければならない、と抱える問題は多岐にわたりました。

CDDスピーカーの指向性はこれまでにないものでした。音質はもちろん各社のスピーカーを視聴した中でも抜群だっただけでなく、１台から放射されるカバーエリアが非常に広く、これまでデッドゾーンになっていた箇所にもしっかりと良質な音を届けることができるようになりました。

PowersoftのX4パワーアンプも最終的な結果に大きく貢献しています。Martin Audioのアコースティックデザインを通した澄み渡るサウンドを最大限に発揮できる出力スペックと、専用ソフトウェアArmoniaにより完璧なチューニングを施すことができました。

各エリアのボリューム調整はもちろん、最新のEQフィルタリングを施し、個々のスピーカーに対して綿密なディレイ調整を行っているので、エリア内どの場所へ行っても最良のサウンドを体感することができるようになっています。Armoniaでは管理者画面を別途作りこむことができたので、通常のオペレーションの中でいただく細かな要望へも迅速に作業を施すことが可能になりました。」