CASE導入事例
STUTS × ユニオンサウンドシステム 様
TiMaxインタビュー:プロデューサー・トラックメーカーSTUTSとオーディオエンジニア町田氏が語る、イマーシブオーディオが生み出す新しい音像体験「THE MAESTRO」制作の裏側
- 導入製品
- 【Martin Audio】CDD8B-WR×8台(上部壁面の防滴スピーカー)
【SoundTube】Rockusticsシリーズ:Periscape4×30台(植栽埋込み防水スピーカー)
【K-array】KGEARシリーズ:GU210×7台(防水サブウーファー)
【Powersoft】Unica8M 2K8×2台、Mezzo604A+×8台(パワーアンプ)
【NETGEAR】GSM4212P×2台(ネットワークスイッチ)
TiMaxでLUFTBAUM 28F「翠の庭」のイマーシブオーディオの音像体験「THE MAESTRO」をデザイン
2025年9月に本格開業したニュウマン高輪 LUFTBAUM 28Fにある「翠の庭」に、オーディオブレインズ取扱いのオーディオ機材が導入されました。ユニオンサウンドシステム・町田氏の設計により、空間全体にスピーカーを散りばめ、360°イマーシブオーディオを体験できる革新的なサウンドデザインを実現しています。
天空150m、豊かな植物に包まれた空間にイマーシブオーディオシステムを導入した「翠の庭」
さらにTiMax SoundHubイマーシブオーディオプロセッサーを活用し、ラジオ局J-WAVE 81.3FMとニュウマン高輪が共創した音像体験「THE MAESTRO」を実施。記念すべき第1回目のマエストロにはプロデューサー/トラックメーカーのSTUTSを起用。
オーディオエンジニアの町田氏と共に、実際にこの「翠の庭」でコンテンツのミックスを行いました。音と空間の関係性に着目した、新たな取り組みです。
音源制作とイマーシブミックスを行ったSTUTSと、音響設計を担当した町田氏に現地でインタビューをさせていただきました。庭全体に個別に配置されたスピーカーと、TiMax SoundHubの定位・移動制御機能を活かし、音が空間に自然になじむよう設計されています。
プロデューサー・トラックメーカーSTUTS × オーディオエンジニア町田氏 インタビュー
2025年9月15日(月・祝)にニュウマン高輪で行われた、『J-WAVE HOLIDAY SPECIAL NEWoMan presents TAKANAWA SCRIPTS』にてライブパフォーマンスを披露したSTUTS。ライブ後にTiMaxの使用感についてオーディオエンジニアの町田氏と共に語って頂きました。
『J-WAVE HOLIDAY SPECIAL NEWoMan presents TAKANAWA SCRIPTS』
創造性を引き出す、シンプルで直感的なTiMaxの制作環境
STUTS 使ってみてまず思ったのは、とにかく凄く使いやすかったってことですね。操作が本当に直感的で、画面上の“マル”を動かすとそのままその位置で音が鳴るので、「そういうことか!」ってすぐに理解できました。チャンネルごとに「この音はこの“マル”」っていう対応関係がわかった瞬間、一気に世界が開けた感じがして、めちゃくちゃおもしろかったです。
今回は音を動かすところまではやっていないんですけど、360°ぐるっと音が回るような感覚はしっかり体感できたので、それだけでもかなり刺激的でした。普段はステレオでミックスすることがほとんどで、空間音楽のミックスなんてやったことがなかったんですけど、それでも直感的に扱えるツールだったので凄くわかりやすかったです。
マニュアルを読む必要もなくて、町田さんにちょっと使い方を教えてもらっただけですぐに作業に没頭できました。自分みたいな初挑戦でもすぐに馴染める操作性は本当にありがたかったですね。
TiMax SoundHubソフトウェア
TiMax SoundHub ハードウェア
イマーシブ音源ならではの「見えないミュージシャン」の存在
STUTS 楽器の音を振り分けていると、「ここだと楽器が大きく聞こえてバランスが崩れちゃうな」みたいな難しさが最初はありました。でも、場所によってバランスが違っても、それぞれの位置や空間で音楽がちゃんと成立するようにミックスできるってわかった瞬間、すごく気持ちがラクになって、作業が一気に楽しくなったんです。
町田さんが床付近にもスピーカーを設置してくれていたので、「この音を下から鳴らしたら面白いな」とか「これは下から鳴らす意味はないな」とか、実際に試してみないとわからない発見がいろいろあって、そこもすごく楽しかったですね。
実際に空間の中を歩きながら聴くと、音像がどんどん変わっていく感じがあって、これはステレオでは絶対にできない体験でした。スマホで聴く空間オーディオとも全然違って、歩くたびに景色みたいに音が変化していくのが本当に新鮮で、スマホや音楽プレーヤーでは再現できない表現だなって実感しました。
特に上下方向の表現は面白くて、「自然音をここから鳴らす」「上から聞こえるようにする」「下から鳴らす」といったことができるのは、ステレオとは全く違う世界だと思いました。
TiMaxを使ってミキシング作業をするユニオンサウンドシステム町田氏とSTUTS
町田 音の分離感に関しては、ステレオだと重なって1つの音楽みたいなつくりですが、イマーシブならではの聞こえすぎるくらい分離する感覚はどうでしたか?
STUTS 今回ミックスするにあたって、「ここら辺の位置ではこの楽器が演奏されている」みたいな、それぞれの場所でいろいろな人が演奏しているということをイメージしながらミックスしました。
それも分離が明確にわかるから、「目には見えないけどここにサックスプレイヤーがいて、トランペットの人がいて、鍵盤の人、それからコントラバスの人がいる」みたいに意識することができイメージ通りにミックスしていくことができました。
SoundTube屋外用スピーカー「Periscape4」
イマーシブオーディオがリスナーを導く「空間デザイン」
STUTS 自分の曲でのイマーシブ空間のデザインなので、「この音はこう鳴ってほしい」とか「楽器ごとにエリアを分けたい」というイメージは最初からありました。特にボーカル曲は、空間に広がるというより、歌っている人がそこにいるように一方向から聴こえる表現を意識していて、ライブでボーカルを追いかけるようなイメージで制作していました。
最初にボーカルが鳴り始める場所も、みんなが座って聴ける位置に設定したので、そこにいると「なんかボーカルがだんだん移動しているな…」と感じるはずです。その動きについていくと、気づいたら絶景スポットにたどり着く、そんな流れになるように考えてミックスしました。
聴く位置によってバランスが変わるので、ステレオでは気づかなかった音も見えてくると思います。昼と夜で曲を分けて、それぞれが景色に溶け込むようにもしているので、時間帯による雰囲気の違いも含めて楽しんでもらえたら嬉しいですね。
ソフトウェア上に音源を配置しては、実際に空間を歩き回り微調整を繰り返しながらコンテンツのミックスが行われた。
町田 今回のミックスでは、来場者が翠の庭に入ってから自然と絶景スポットに誘導されるように、ボーカルが下手から上手へゆっくり動いていく定位をSTUTSさんと一緒に設計しました。急に動くのではなく、「気づいたらいつのまにか動いていた。」というニュアンスになるようにしています。
歩く人にとってはほんの僅かな変化なので気づきにくいんですが、無意識のうちに音に導かれて移動していけるような空間設計になっていると思います。音で動線をデザインするという、イマーシブならではの表現が取り入れられました。
「翠の庭」のベンチからの眺め
イマーシブ音響技術が提供する創作の可能性
STUTSと町田氏が協同し取り組んだミックスは、イマーシブ音響の技術がどのように創作の可能性を広げ、リスナーにとってどれほど新鮮な体験をもたらすのかを、体現するプロジェクトとなりました。
「翠の庭」でしか聴けないSTUTSの楽曲のインストゥルメンタルバージョンも用意されており、時間帯に合わせて楽曲が切り替わる仕掛けも盛り込まれていました。昼と夜、それぞれの情景に合ったサウンドで構成されており、高層階ならではの景観との調和も丁寧に考慮されたここでしか得られない特別な体験を提供してくれました。
『THE MAESTRO STUTS EDITION』の開催期間は終了していますが、11月29日(土)~ 第二弾となる『THE MAESTRO PENTATONIX “CHRISTMAS” EDITION』が開催中! イベント期間外は季節、時間によって音源が変わるイマーシブオーディオシステムを活用したBGMを体感いただけます。
<J-WAVE 81.3FM×ニュウマン高輪 LUFTBAUM>THE MAESTRO特設サイトはこちら
Martin Audio「CDD8B-WR」スピーカー
昼の景色とKGEAR「GU210」サブウーファー
飛行機とMartin Audioスピーカー

ニュウマン高輪 LUFTBAUM 28Fにある「翠の庭」に、Martin AudioとSoundTubeの屋外スピーカーを中心としたオーディオ機材が導入されました。音源制作とイマーシブミックスを行ったSTUTSと、音響設計を担当したユニオンサウンドシステムの町田氏にお話を伺いました。
(取材協力:株式会社スペースシャワーネットワーク、株式会社J-WAVE、株式会社ルミネ、株式会社ユニオンサウンドシステム)